Project8 オープン・D・チューニング
5.島国のロックンロール
「はっぴいえんど」が好きだった。
その頃、ブリティッシュ・ロックばかり聞いていたのだが、たまには別のを聞こうとジャケットだけを見てレコードを買った(『CITY-はっぴいえんど・ベスト・アルバム』)。
家で聞いてカラフルなサウンドと想像力を刺激するシュールな歌詞にびっくりした。
最近でも「はっぴいえんど」に影響を受けたミュージシャンは多い。”渋谷系”あたりの人にも人気が高い。
一般には解散後の各メンバーの活躍のほうが知られている。
細野晴臣 → 坂本龍一、高橋幸宏とYMOを結成しブレイク。
大瀧詠一 → アルバム『A LONG V・A・C・A・T・I・O・N』が大ヒットしてブレイク。
松本隆 → 作詞家として大ブレイク。
鈴木茂 → このひとは何をしてるのかな...。
永ちゃんが好きだった。
これまでの生涯で一番夢中になって読んだ本は矢沢永吉著「成り上がり」だ。
読み出したら止まらない!!家族と食事しながらも読みつづけた。
永ちゃんの愛読書がカーネギーの「人を動かす」と書いてあったので、それも買って読んだ。
関係ないけど「人を動かす」は社会人になってから役に立った。
ともすると生き様やツッパリの教祖的部分が注目されるが、永ちゃんの音楽も素晴らしい。
彼の歌にも作曲にも、本格を感じさせるセンスの良さがある。
他にも好きな日本の”ロック”ミュージシャンはたくさんいる。
だけど、日本のロックは本質的なロック・ミュージックではない気がする。
絶対的な自由を感じさせる”あの感覚”を持っていないのだ。
現実社会をぶっ壊して、別の世界に行こうとするアナーキーな部分がない。X JAPANに少しだけ感じたくらいかな。
日本のロックは、基本的に現実社会の中での愛や不満や悲しみを歌っている。
等身大の”お前”に対する愛であり、隣のやつばかり得をすることへの不満である。
僕にとって、日本のロックを聞く快感は、ポップミュージックを聞くときのそれに近い。
70年台以降、急速に世の中にポップなものやカジュアルなものが増えて来た。
少しづつ、いろいろなしがらみがほどけ、自由な雰囲気になって来た。
でも、本質的に自由になったという気がしなかった。
ところが、20世紀の終わりに結果的に多くの人が大きな自由を手に入れた。
これはロックの力によるものだ???
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