Project8 オープン・D・チューニング

1.さよならロックンロール

BOOWYを初めて聞いたとき、ある意味、衝撃的だった。これは決して肯定的に言っているのではない。

ちょうど彼らが全盛期の頃、僕はあるシステム開発会社で働いていた。
その協力会社(技術者を派遣する下請け企業)から来ている20才そこそこのプログラマーが音楽好きだった。
いろいろ理由があって音楽から遠ざかっていた僕は、彼に一番好きなバンドのカセットテープを貸して貰った。
それが、BOOWYのアルバムだった。

衝撃的だった理由は、アルバム全曲を通して、ブルーノートが一音も使われていなかったからだ。
今聴きなおして検証すれば、違うかもしれないが、入っているとしてもそれは例外である。
解散後の布袋寅泰の演奏では普通に使っているし、彼がブルーノートを知らないわけがない。
確実にロック・ミュージックが変貌したのだ。

ロックバンドを見て、音楽に詳しくない人は不思議に思うのではないか。
「なぜ、音楽的素養も音楽教育経験もなさそうな少年たちが演奏出来るのか?」
かっこいい答え方をすれば、「エレキギターが音楽を解放したから」
これは2つの意味がある。
ひとつは音をアンプで増幅することにより、訓練を受けていない単純な演奏でも刺激的な効果を出せるようになったため。
もうひとつは精神面だ。ロックンローラーを見て、専門家のものだった音楽を自分たちで演奏してもいいと知ったためだ。

ようするに素手でしか戦えなかった若者が、拳銃を手にして力を得て、気が大きくなった感じか?
そしてもうひとつ、ロックミュージシャンは、音楽的にも大きな武器を持っている。

それが、ブルーノートを駆使したブルースコードだ。

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