Project23 サインはV

3.技術立国

♪ V、I、C、T、O、R、Y、サインはV!
明るい!「サインはV」の主題歌は、なんとも明るい名曲だ。この明るさからは高度経済成長の匂いを感じる。
まだ、企業に忠誠を尽くし、真面目に勤労に励むことに価値を見出せた時代の香りがする。
※僕はかなり真面目に仕事する方だと思うが、その理由は忠誠心とかではなく、プロ意識ですね。

そんな時代背景を象徴するかのように「サインはV」の舞台は立木大和の女子バレーボール部だ。
立木大和とはなんじゃい?と思う人のために解説しておくと、立木が会社名、大和が工場名です。
放送の数年前の東京オリンピックで活躍したのが「日紡貝塚」の選手。これは、大日本紡績(後に、ニチボー→ユニチカ)貝塚工場の意味。
「サインはV」放送当時強かったのが「日立武蔵」で、これは日立製作所武蔵工場の意味。
まあ、作者はこのあたりの連想でつけたんでしょうね。でも立木って何作ってる会社なのかな?

出演者は、主役の岡田可愛をはじめ、中山麻里、范文雀、岸ユキらの選手達とコーチ役の中山仁。
リアリティがなかったですね。現在女性のアスリートやスポーツコーチのルックスは格段に向上したが、当時はちょっと...。
東京オリンピック金メダルの女子バレーチーム(”東洋の魔女”)はおばさんの集団にしか見えないし、鬼の大松監督もただのおっさんや。
立木大和は、そんな現実味のない美男・美女のチームだったが、その実力は凄い!!

まずは「稲妻落とし」。主人公・浅丘ユミの必殺サーブだ。
打ち方はコートを背にし、前傾姿勢でボールを片手に持ち、もう一方の手をぐるぐる回し、その回転をを利用して背中越しに打つ。
するとボールは稲妻の光のように左右に細かく折れ曲がった軌道で相手コートに落下する。
この物理法則を無視した魔球は、さすがに拾うことは出来ない。
学校でバレーボールをやると必ず「稲妻落とし」を打つやつがいたが、ドラマと違いただの山なりのボールが来るので、簡単に受けられてしまった。
やはり、ドラマと同じように特訓しなければ打つことは出来ないのである。

次に「スピンボール」。相手のブロックに阻まれてもボールが手前に跳ね返らず、横に流れて相手コートに落下するスパイクである。
感覚的にこれは出来そうな感じもする。思いっきりボールに回転を与えればいいんでしょう。
今度特訓してみるか、と思ったが考え直した。
だって、残りの人生でバレーボールをすることってあるかなあ。あるとしても、せいぜい5、6回ぐらいだろうね。

極めつけは「X攻撃」。2人がXの字のようにクロスして飛び、どちらかがスパイクを打つ。
相手はどちらが打ったかわからず、混乱して拾うことが出来ない。
まあ確かに対戦して最初に見たらびっくりして、拾い損ねるとは思うけど、そのうち慣れるんじゃないかな。
ボールはひとつなのだから、トスを上げる段階から追っていれば、普通のスパイクと同じでしょ。
むしろ横向きの無理な体制から打つから、弱いボールが来るかも。
それより、あれだけジャンプ力があるなら普通に垂直に飛び上がるだけで、相手のブロックの上から打てそうな気がするが。

このように当時のスポーツヒーロー物のドラマは、技術立国日本を象徴するかのように、次々と新しい技を研究・開発するのが普通であった。
そんなスポーツドラマの中でも、「サインはV」は心に残る特別の存在である。
なぜか?

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