Project10 トライ・トゥ・リメンバー
1.映像と音楽センス
音階は半音を入れても12音、ドレミファソラシドだけなら8音しかない。
この単純な組み合わせなのに、どうしてこんなに美しいメロディなのだろう。
ポピュラー音楽の名曲を聞くたびにそう思う。
単純なコードでギターで弾ける曲がいい。複雑さや難解さに逃げない曲が好きだ。
そういう曲は、発明としか言いようがない。
作曲をするコンピューターソフトがあるようにパターンを組み合わせることで曲を作ることは可能だ。
口当たりのいいコード進行に口当たりのいいメロディーを乗せるだけなら専門家には難しくない。
僕も多少音楽をやるので、そういう陳腐な曲でよければ1日に10曲でも20曲でも作れる。
悲しい現実だが、日本の映画やテレビを観ると、そんな何のひらめきも感じられない音楽を使っていることが多い。
たぶん製作者は音楽を添え物程度にしか考えないのだと思う。
それから、最近CMやドラマで20〜30年くらい前の曲が使われることが増えている。
使われているのは、素晴らしい名曲ばかりだが、逆に製作者の音楽センスの悪さを感じてしまう。
つまり、自分が若いときに好きだった曲を安易に使っているだけなのだ。こういうのは中学生の発想だ。
良いものを紹介したい、使いたいという気持ちはわかるが、あまりに乱用し過ぎていると思う。
問いかけ「自分が名作だ!と思う日本映画を思い出して下さい。音楽はオリジナルの名曲ではないですか?」
「トライ・トゥ・リメンバー」はオフ・ブロードウェイでロングランしたミュージカル「ファンタスティック」の名曲だ。
だいたいの人は、聴けばあの曲かと思い当たるだろう。
この曲を題名にした話のプロットがある(次回公開)。10年ちょい前に書いたやつだ。
映像化するときは、できれば音楽はミュージカルと同じ「トライ・トゥ・リメンバー」を使いたいと思う。
(あれ?さっき音楽センスが悪いって言った製作者とやってることが同じかな?)
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