Project8 オープン・D・チューニング

11.主役を探して

この映画は主役の役者が見つかったら、すぐに撮り始めようと思う。
数年前にふとロック映画を撮りたいと思った。
断片的にシーンのイメージがあったのだが、だいたいストーリーが固まってきた。
この役はあの人に頼もう、音楽はこの曲をアレンジしよう、といったアイデアもすでにある。
あとは、主役の男をいかに見つけるかだ。

設定としては、存在するだけで周りをロックな空間に変えてしまう男である。セリフはほとんどない。
その男の行くところは、次々とロック空間に変貌してしまう。
彼はロックバンドのボーカルをやっている。そのバンドは見た目は凄いのだが...。
ギターは「ハイウエースター」のソロを弾くと指がついてゆかず、グシャグシャになる。
ベースはロックなのに、なぜかチョッパーを弾きたがる。
ドラムは、手と足が同時に動いてしまう。
そしてボーカルの彼は、歌うとニワトリの悲鳴のような甲高い声になってしまう。
このバンドがあるやりかたで再生してゆく話であるが、サイドストーリーとして人妻との恋も入れる。

イメージに合う役者が難しい。
窪塚でも反町でもキムタクでもだめ(むこうもこんな役やりたくと思うけど)。
松田優作なんかは、いかにもって感じだけどちょっとストイック過ぎる。
パワーがあると言えば、蝶野(プロレス)や清原(野球)だが、ちょっと方向が違う気がする。
近いのはテンプターズが解散し、役者を始めたころのショーケンかな。

ショーケン(萩原健一)は、今ではすっかり普通の役者になってしまったが、その頃は存在感の塊だった。
テレビでは「太陽にほえろ!」「傷だらけの天使」「前略おふくろさま」などがメジャーであるが、
「風の中のあいつ」「くるくるくるり」「勝海舟」などもショーケンが出ているので見ていた。
NHKの「明智探偵事務所」なんてのも見てたが、これは知らないだろうな。
彼には、何かを渇望する孤独感のようなものがあり、それが演技にパワーを与えていた。
そして、母性本能を刺激する甘さがあった(男の僕が言うのも変だけど)。

物質と情報が溢れ渇望の方向が内に向かっている現在、ロックパワーを持った男が見つかるだろうか?


つづく

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