Project7 フランス映画が好き

1.現実とスクリーンの間に.

僕は単館で上映されるフランス映画に対して疑問に思っていることがある。
べつにフランス映画に限定したことではないのだが、単館にかかる恋愛映画についてである。
こうした映画では、「だめ男」や「中年男」が、「いい女」の恋愛対象になる場合が多いのだ。
もちろん現実の世界でそうしたことが起こりうることは十分理解できる。
しかし、それを映画館で観ている女の子はどうなんだろう?そういう恋愛をしているのだろうか?

数年前に、映画の配給(ディストリビュート)について半年ほど学んだ。
その教室の主流は、単館系の映画好きの女の子たちだった。配給の仕事につければ幸せみたいな...。
その中で、僕は最年長だった。僕の年齢はヒ・ミ・ツ☆であるが、相対的に教室の他の男よりは「中年」に近い。
もし、彼女たちが映画のような恋愛を実践しているのであれば、僕にはもてて、もててしかたないはずだ。
ところが、実際は普段と変わりない。

その教室が終了してからしばらくして、僕は勤めをやめ結構長い間失業していた。
失業といえば「だめ男」の象徴みたいなものであるから、またしてももてる要素が加わったことになる。
どの娘と付き合おうかなと思い悩んでいたが、一向にアプローチがない。
こちらから連絡して失業したことを話題にしてもやっぱり普段と変わらない。おかしいじゃないの!

そして僕はあるひとつの結論に達した。
「女性にとってのフランス映画は、男性にとってのアクション映画である」
だいたいの男は、アクション映画が好きだ。
危険をかえりみずに悪と戦う主人公の活躍に胸を躍らせ、見終わった後カタルシスを得る。
ところが、実際の生活でアクション映画の主人公のように振舞う男はほとんどいない。
普段の生活で、拳銃を撃ったり、殴り合ったりしないばかりか、長い物には巻かれてばかりだ。

女性がフランス映画を観るのも、主人公が自分に代わって様々な恋愛をしてくれるからだ。
男性がアクション映画のヒーローに自分を投影するように。
そして現実の自分は、「だめ男」や「中年男」との恋愛も興味はあるが、実際には足を踏み入れない...。
きっとそうだ。そうに違いない。そうでなきゃ僕がもてない理由の説明がつかないじゃないか。

僕はこの仮定が正しいか、女の子に聞いてみることにした。

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